○富岡甘楽広域消防本部感染症予防規程

令和元年11月15日

消防長訓令第6号

目次

第1章 総則(第1条・第2条)

第2章 感染防止対策

第1節 通則(第3条)

第2節 総括感染管理者及び感染管理者の責務等(第4条―第7条)

第3節 研修(第8条)

第4節 隊員等の抗体検査及び予防接種(第9条)

第3章 感染予防策

第1節 基本方針(第10条)

第2節 標準予防策等(第11条―第15条)

第3節 清拭、洗浄及び消毒並びに廃棄(第16条)

第4章 血液等曝露事故(第17条―第20条)

第5章 感染症対応(第21条―第28条)

第6章 雑則(第29条・第30条)

附則

第1章 総則

(目的)

第1条 この規程は、消防業務を遂行する上で、隊長及び隊員(以下「隊員等」という。)並びに傷病者及び救急車に同乗する者への感染症のまん延を予防し、隊員等の事故発生時における円滑な初期対応及び事務処理について万全を期することを目的とする。

(定義)

第2条 この規程において、次の各号に掲げる用語の定義は、当該各号に定めるところによる。

(1) 血液等 傷病者の体液(汗を除く。)、粘膜、嘔吐物及び排泄物をいう。

(2) 現場活動 救急、警防及び救助活動をいう。

(5) 標準予防策 第11条に規定する予防策をいう。

(6) 完全個人防護 ゴーグル、N95マスク、感染症対応用化学防護服、手袋、シューズカバー、アイソレーションガウン、フェイスシールド及びゴム長靴を着用した状態をいう。

(7) 感染症法 感染症の予防及び感染症の患者に対する医療に関する法律(平成10年法律114号)をいう。

(8) 感染症傷病者 感染症にり患している又はその可能性を有している傷病者をいう。

(9) 感染性廃棄物 感染するおそれのある病原体が含まれ、若しくは付着している廃棄物又はこれらのおそれのある廃棄物をいう。

(10) 感染症指定医療機関 感染症法第6条第12項に規定する当該用語の定義による。

(11) 血液等曝露事故 血液等で汚染された鋭利物による受傷、針刺し事故及び粘膜への血液等の曝露並びに動物による受傷をいう。

(12) 完全個人防護対象感染症 検疫法(昭和26年法律201号)第2条に規定する検疫感染症(感染症法で定める第3類、第4類及び第5類感染症を除く。)及び感染症法第6条に規定する重症急性呼吸器症候群をいう。

第2章 感染防止対策

第1節 通則

(感染防止管理体制)

第3条 総括感染管理者及び感染管理者は、その責務を全うし、隊員等の安全確保のため、感染防止管理体制を確立しなければならない。

第2節 総括感染管理者及び感染管理者の責務等

(総括感染管理者及び感染管理者)

第4条 総括感染管理者にあっては警防課長とし、感染管理者にあっては所属長をもって充てる。

(総括感染管理者の責務)

第5条 総括感染管理者は、隊員等の感染防止の総括的な管理者として感染防止対策の整備及び研修の実施並びに隊員等への抗体検査及び予防接種の充実を図ることを責務とする。

(感染管理者の責務)

第6条 感染管理者は、隊員等の感染防止を管理し、感染防止対策の周知、指導及び総括感染管理者への情報提供並びに救急用資器材の衛生管理の徹底を実施し、隊員等の感染予防の向上を図ることを責務とする。

(他機関との協力体制)

第7条 総括感染管理者は、感染防止に関して地域メディカルコントロール協議会及び保健所との協力体制を構築するものとする。

第3節 研修

(研修)

第8条 第5条に規定する研修は、総括感染管理者が年1回以上実施し、その内容は次に掲げるものとする。

(1) 標準予防策及び感染経路別予防策

(2) 救急車及び救急資器材の洗浄並びに消毒の方法

(3) 感染性廃棄物の処理

(4) 血液等曝露事故発生時の対応

(5) ワクチン管理の重要性

(6) その他総括感染管理者が必要と認めるもの

2 総括感染管理者は、海外で流行し、国内で発生するおそれが著しい感染症又は感染力が強く、かつ、国内で流行している感染症について、臨時の研修を実施することができる。

第4節 隊員等の抗体検査及び予防接種

(抗体検査及び予防接種)

第9条 消防長は、隊員等に対して次に掲げる感染症の抗体検査を定期的に受診させるものとする。ただし、第1号から第4号までの感染症において、満1歳以降に2回の予防接種記録があるときは、抗体検査を要しない。

(1) 麻しん

(2) 風しん

(3) 流行性耳下腺炎

(4) 水痘

(5) B型肝炎

(6) 破傷風

(7) その他消防長が必要と認める感染症

2 消防長は、前項の抗体検査の結果が陰性になった感染症については、隊員等へ予防接種を実施するものとする。

3 消防長は、前2項に規定する予防接種及び抗体検査の受診期間を総括衛生管理者及び総括感染管理者と医学的根拠に基づいて協議し、決定するものとする。

第3章 感染予防策

第1節 基本方針

(感染予防の基本方針)

第10条 隊員等は、傷病者との接触は、感染の危険があるものとし、標準予防策を適切に実施するものとする。

2 前項に規定する標準予防策のほか、隊員等が必要であると認める感染経路別対策を実施するものとする。

3 隊員等は、自身に汚染が認められるときは、当該汚染が拡大しないよう努めるものとする。

4 隊員等は、感染予防に関する相当の知識及び技術を習得し、感染のリスクの軽減に努めなければならない。

第2節 標準予防策等

(標準予防策)

第11条 標準予防策は次に掲げるものとする。

(1) 手指衛生

(2) 個人防護具の選定及び着脱

(3) 救急資器材の清拭、洗浄及び消毒の実施

(4) 救急自動車の清拭、洗浄及び消毒の実施

(手指衛生)

第12条 前条第1号の手指衛生については次に掲げるとおりとする。

(1) 実施時機

 傷病者との接触前後

 手袋の装着前及び脱着後

 血液等曝露時

 現場活動終了後

 車両及び資器材の整備後

(2) 実施方法

 手指に視認できる汚染がないとき。

(ア) 速乾性手指消毒剤を使用し、手指を消毒する。

(イ) 消毒薬に抵抗性がある病原体に触れた可能性があるときは、石けんを使用し、流水で手洗いをする。

 手指に視認できる汚染があるとき。

(ア) 石けんを使用し、流水で手洗いをする。

(イ) 手洗い後は、ペーパータオルで手指の水分を拭き取る。

(ウ) 速乾性手指消毒剤を使用し、手指を消毒する。

2 前項に規定する手指衛生の手順については別に定める。

(個人防護具)

第13条 隊員等は、現場活動において感染の危険性を見極め、適切な個人防護具を選択するものとする。

2 個人防護具の着脱方法については別に定める。

(同乗者への感染予防策)

第14条 隊員等は、救急車に同乗する者への感染予防策を前条第1項に準じて実施するよう努めなければならない。

(感染経路別予防策)

第15条 空気感染する感染症傷病者の対応をするときは、次に掲げる対策を実施するものとする。

(1) 隊員等は、N95マスクを着用する。

(2) 感染症傷病者にサージカルマスクを着用するよう努めるものとする。

(3) 救急車内の換気を実施する。

2 飛沫感染する感染症傷病者には、サージカルマスクを着用するよう努めるものとする。

3 傷病者の血液等が飛散及び付着する危険があるときは感染防止衣のズボン、アームカバー、シューズカバー及びゴーグルを着用するものとする。

第3節 清拭、洗浄及び消毒並びに廃棄

(清拭、洗浄及び消毒並びに廃棄)

第16条 救急規則第27条第2項に規定する消毒の方法は、別表第1のとおりとする。

2 消毒薬については、使用法及び用量を熟知し、取り扱うものとする。

3 血液等で汚染された資器材及び使い捨て資器材を廃棄するときは、次の表に掲げる区分とする。

廃棄区分

該当資器材

シャープコンテナ

静脈留置針、穿刺針その他鋭利な器材

感染性廃棄物

血液等で汚染された物

産業廃棄物

血液等の汚染がない救急用資器材

4 前3項に規定する清拭、洗浄及び消毒並びに廃棄を行うときは適切な個人防護具を着用し、実施するものとする。

第4章 血液等曝露事故

(曝露事故発生時の処置)

第17条 血液等曝露事故により汚染した隊員等は、速やかに汚染部位を流水で洗浄するものとする。

(血液提供依頼)

第18条 隊員等に血液等曝露事故が発生したときは、隊長は直ちに傷病者又はその者の関係者に対して事故概要を説明し、様式第1号による血液提供の同意を得るものとする。

2 前項の同意を得たときは、搬送先医療機関へ様式第2号を提出し、傷病者の血液検体検査を依頼するものとする。ただし、様式第2号を提出できないときは、口頭で依頼し、速やかに様式第2号を提出するものとする。

(事故の報告)

第19条 現場活動において、隊員等に血液等曝露事故が発生したときは、隊長は搬送先医療機関の医師に感染予防に関し口頭で指示及び助言を求め、その内容を速やかに口頭及び様式第3号による報告をしなければならない。

2 現場活動以外で血液等曝露事故が発生したときは、隊長にあっては、前項の報告を適用し、消防長にあっては、報告を受けた後に公立富岡総合病院又は下仁田厚生病院の医師に感染予防に関し口頭で指示及び助言を求めるものとする。

3 第1項の搬送先医療機関で指示及び助言を受けられなかったときは、前項に準ずるものとする。

4 血液等曝露事故で当該血液等の情報が不明であったとき又は前条第1項の同意を得られなかったときは、第2項の規定を準用する。

5 血液等曝露事故にあった隊員等のプライバシーに配慮するものとする。

(医療機関への受診)

第20条 消防長は前条の規定による指示及び助言に基づき、隊員等を受診させるものとする。

2 前条の規定による指示及び助言を受けられなかったときは、消防長は血液等に感染源が含まれると想定し、速やかに隊員等を受診させるものとする。

3 第18条第2項の血液検体検査の結果が陽性であったときは、消防長は血液等曝露事故に該当した隊員等を受診させるものとする。

第5章 感染症対応

(感染症等の通知)

第21条 総括感染管理者は、国内外の感染症流行に伴う通知を受けたときは、必要に応じてその対応方法について感染管理者に通知するものとする。

(抗体未獲得時の対応)

第22条 隊員等は、第9条第1項第1号から第4号までの感染症の傷病者に曝露した場合において抗体が未獲得のときは、保健所に指示を求め、感染対策を実施した後、医療機関を受診するものとする。

(完全個人防護の適用)

第23条 完全個人防護については、感染症傷病者が完全個人防護対象感染症であり、かつ、隊長が必要であると認めるときに適用する。

(完全個人防護の方法)

第24条 完全個人防護の着脱方法については、別に定める。

(救急車の養生の適用)

第25条 救急車の養生については、完全個人防護の適用であり、かつ、隊長が必要であると認めるときに実施するものとする。

(救急車の養生の設定及び解除方法)

第26条 救急車の養生の設定及び解除方法については、別に定める。

(事案の報告)

第27条 完全個人防護を適用する事案が発生したときは、事案が発生した管轄の感染管理者は、直ちに総括感染管理者へ報告するものとする。

2 総括感染管理者は前項の報告を受けたときは、速やかに保健所に報告し、指示及び助言を求めて対応するものとする。ただし、医療機関及び保健所から覚知したときは報告することを要しない。

(感染症指定医療機関への受診)

第28条 傷病者の搬送後において、保健所から感染症法第6条に規定する感染症に当該傷病者がり患している情報を得た場合は、消防長は医師又は保健所に指示及び助言を求め、受診の必要があると認めるときは、現場活動に従事した隊員等を感染症指定医療機関に速やかに受診させなければならない。

第6章 雑則

(出動可否の判断)

第29条 血液等の汚染により感染症のまん延のおそれがあるときは、出動車両及び資器材の運用は実施しないものとする。

2 感染管理者は、感染症のまん延の予防に特に必要と認めるときは、隊員等の運用は実施しないものとする。

(補足)

第30条 この規程で定めるもののほか必要な事項は、消防長が別に定めるものとする。

(施行期日)

この訓令は、令和元年12月1日から施行する。

(令和3年3月18日消防長訓令第2号)

この訓令は、令和3年4月1日から施行する。

別表第1(第16条関係)

出動車両

血液等による汚染がないとき。

1 モップ又は布で湿式清掃する。

血液等による汚染があるとき。

1 ペーパータオル又はガーゼで覆うように汚染物を除去する。

2 0.1パーセント次亜塩素酸ナトリウム溶液で消毒清掃する。

3 湿式清掃又は消毒用エタノールで清拭する。

積載品

血液等に接触した物

洗浄可能

1 ブラシ及びスポンジを使用し、流水で洗浄する。

2 0.02パーセント次亜塩素酸ナトリウム溶液に10分間浸漬する。

3 金属部分のある物については、金属への腐食性がない消毒薬に浸漬する。

4 流水ですすぎ、湿式清掃又は消毒用エタノールで清拭する。

洗浄不能

1 ペーパータオル又はガーゼで覆うように汚染物を除去する。

2 0.1パーセント次亜塩素酸ナトリウム溶液で消毒清掃する。

3 湿式清掃又は消毒用エタノールで清拭する。

浸漬不能

1 ブラシ及びスポンジを使用し、流水で洗浄する。

2 0.1パーセント次亜塩素酸ナトリウム溶液で消毒清掃する。

3 湿式清掃又は消毒用エタノールで清拭する。

健常な皮膚に触れた物

1 必要に応じて洗浄及び消毒用エタノールで清拭する。

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富岡甘楽広域消防本部感染症予防規程

令和元年11月15日 消防長訓令第6号

(令和3年4月1日施行)

体系情報
第7類 務/第1章 広域消防/ 救急業務
沿革情報
令和元年11月15日 消防長訓令第6号
令和3年3月18日 消防長訓令第2号