○富岡甘楽広域市町村圏振興整備組合消防活動用無人航空機運用要領
平成31年4月12日
消防長訓令第5号
目次
第1章 総則(第1条)
第2章 運用(第2条―第8条)
第3章 点検及び整備(第9条・第10条)
第4章 教育(第11条―第13条)
第5章 その他(第14条)
附則
第1章 総則
(趣旨)
第1条 この要領は、富岡甘楽広域市町村圏振興整備組合消防活動用無人航空機運用要綱(平成31年富岡甘楽広域市町村圏振興整備組合消防長訓令第4号。以下「要綱」という。)第23条の規定に基づき、消防活動用無人航空機(以下「消防用ドローン」という。)の安全かつ適正な運用について必要な事項を定めるものとする。
第2章 運用
(運用要員の指名)
第2条 要綱第4条に規定する運用要員は、消防長が適正な知識及び技量を有していると認定した者(以下「認定操縦員」という。)から指名する。
3 消防長は、前項に規定する消防用ドローン操縦員審査表及び消防用ドローン操縦員認定申請書の提出に対し適当と判断するときは認定操縦員に認定するものとする。
(運用要員の服装及び装備)
第3条 運用要員は保安帽、活動服、災害活動用手袋等を装着し、必要に応じて携帯無線機及び連絡用トランシーバーを携帯する。
2 運用要員は日光、照明、煙等による視認障害の対策として、必要に応じて偏光サングラス及びゴーグルの装着を可能とする。
(運用前の確認事項)
第4条 管理責任者又は隊長は、消防用ドローンの運用前に次に掲げる事項を確認し、運用の可否を判断しなければならない。
(1) 災害時の上空偵察は、飛行速度及び災害への対応能力の優位性に鑑み、消防ヘリコプター、防災ヘリコプター、警察ヘリコプター等による偵察を優先すること。
(2) 人命検索、活動危険、災害規模等の状況を把握するため、消防用ドローンの運用以外に手段がないこと。
(3) 運用時間は、日出から日没までとすること。
(4) 天候は、晴天又は曇天であること。
(5) 飛行開始地点及びその上空の風速が機体の仕様書における数値のおおむね半分以下であること。
(6) 飛行開始地点から目的地を経て飛行開始地点に戻るまでの往復の飛行時間が機体の仕様書における数値のおおむね半分以下であること。ただし、積載量が多いとき、寒冷であるときその他飛行時間の短縮が予想される場合は飛行時間を短縮すること。
(7) 機体の状況は安全に飛行できるように整備されていること。
(8) 設定した飛行経路は安全に飛行できる経路とすること。
(9) コンパス、GPSアンテナ、補助装置等の正常な作動を監視画面上で確認できていること。
(操縦手順)
第5条 操縦手順は、次に掲げるとおりとする。
(1) 飛行要領
ア 離陸時は、速やかに高度をおおむね3メートルから5メートルまで上昇した後に、操縦操作に対する機体の挙動が正常であることを確認すること。
イ 着陸時の誘導は、運用要員が協力して行い、飛行中に電波の受信状態が悪化したときは、速やかに電波を安定して受信できる位置に機体を帰還させ、電波の受信が回復した後にバッテリー電圧を確認し、任務続行の可否を判断すること。
(2) 飛行距離の短縮
電波の安定した受信環境を確保するため、目視下での短距離飛行に努めること。
(運用時の注意事項)
第6条 運用要員は、消防用ドローンの運用をするときは、次に掲げる事項に注意し、安全な運用に努めるものとする。
(1) 操縦への専念飛行中は、運用要員以外の者が操縦員に話しかけてはならない。
(2) 目視下での運用
ア 遮蔽物、地形の起伏その他視認障害となる物の影響を考慮し、操縦位置を決定すること。
イ 目標地点及び飛行する機体が遠距離になるときは、望遠鏡を活用し、有効な目視下での運用に努めること。
(3) 飛行範囲は、目視下であり、かつ、離陸地点から高度150メートル未満とする。
(4) 状況変化への対応
イ 隊長は、状況の変化を早期に認知するために機体の位置、姿勢、挙動及び操縦の意図並びに気象状況についての情報を共有するため、操縦員、操縦補助員及び安全員と緊密に連携すること。
(5) 火災現場上空の飛行は避けるものとし、煙、上昇気流及び風向を考慮して影響範囲外で偵察を行うこと。
(6) 雨天時の飛行は行わないものとする。
(7) 運用時は気象情報を収集し、天候の急変に備えること。
(8) 運用前に使用するバッテリーを交換すること。
(9) その他の運用
ア 降雨及び放水により機体に水分が付着したときは、圧縮空気を用いてモーターの整備を行い、機体に付着した水分を拭き取ること。
イ バッテリー充電は急速充電を行わない。ただし、災害対応のために必要である場合は、この限りでない。
ウ 各機器の設定については取扱説明書に従うこと。
(周辺環境による機体への影響)
第7条 運用要員は、次に掲げる場所では、操縦不能に陥り墜落する危険があるため、特に注意して飛行しなければならない。
(1) 送電線、電波塔その他強い電磁波を発する場所での飛行
(2) 携帯無線機、車両、船舶等の無線電波が混信する場所での飛行
(3) 鳥類が衝突するおそれのある場所での飛行
(4) 地形及び高層建築物により、気流が乱れやすい場所での飛行
(5) 地形及び高層建築物により、操縦電波の送受信が不安定になりやすい場所での飛行
(6) コンパスが不安定になりやすい場所での飛行
(7) 悪天候時の飛行
(8) 酷暑又は極寒下での飛行
(9) 機体の故障及び電波障害
2 運用要員は、飛行中に異常を認知したときは速やかに飛行を中止し、機体を安全に着陸させなければならない。ただし、墜落の可能性が著しい場合は不時着させ、又は空中でモーターを停止し、遠方への喪失を防ぐものとする。
(飛行記録)
第8条 運用要員は、消防用ドローンの運用後は次に掲げる事項を消防用ドローン飛行記録表(様式第4号)及び管理用パソコンに記録及び保存をすること。
(1) 飛行年月日
(2) 操縦員名
(3) 飛行目的
(4) 機体名
(5) 離陸場所及び離陸時刻
(6) 着陸場所及び着陸時刻
(7) 飛行時間及び累計飛行時間
(8) 運用要員別の運行時間等の記録(データ管理)
(9) 消防用ドローンの飛行の安全に影響のあった事項
2 管理責任者は、航空法第132条ただし書きに規定する許可及び同法第132条の2ただし書きに規定する承認に係る飛行実績を前項に規定する記録に基づき作成し、必要に応じて国土交通省航空局に報告するものとする。
第3章 点検及び整備
第4章 教育
(運用要員の養成)
第11条 要綱第19条に規定する養成訓練は、次に掲げるとおりとする。
(1) 基礎知識及び基本的な操作要領
ア 関係法令等 おおむね1時間
イ 点検整備等 おおむね2時間
ウ 操縦操作等 おおむね4時間以上
(2) 応用的な操作要領及び異常発生時の対応要領
ア 機体の組立て、分解、点検、積載品の搭載等
イ 自動飛行の設定から飛行までの運用
ウ その他災害現場において必要な知識及び技術
(指導操縦員)
第12条 消防長は、認定操縦員のうち、技能認証を実施する団体の講習を受けて技能認証を得ている者又は同等の知識及び技量を有している者を指導操縦員に任命するものとする。
2 指導操縦員は、消防用ドローンの操縦訓練指導を行うとともに、第2条第3項に規定する消防用ドローン操縦員認定に係る審査を行うものとする。
(運用要員の技能維持)
第13条 運用要員の指名を受けた者は、3か月に1回以上の操縦訓練を実施し、技能の維持及び向上に努めるものとする。
2 指導操縦員は、技能の向上及び新たな知識の習得のため、一定期間ごとに外部機関による研修を受けるものとする。
第5章 その他
(事故発生時の対応)
第14条 要綱第22条に規定する事故発生時の対応は、次に掲げる事項のとおりとする。
(1) 負傷者の救護
ア 負傷者の救出
イ 応急救護処置
ウ 救急車の要請
(2) 二次的事故防止
ア 機体の損傷部品及び物損事故による散乱物の処理を行う。
イ 人身事故及び物損事故発生時は、可能な限りの現場保存に配意する。
(3) 管理責任者への報告内容
ア 事故発生時の日時及び場所並びに事故内容
イ 死傷者の数及び負傷程度
ウ 損壊した物及び損壊程度
エ 人身事故について講じた措置及び負傷者の病院収容の有無
オ 関係機関への連絡状況
カ その他必要な事項
(4) 人的被害、第三者の物件損傷及び飛行時における機体の紛失又は航空機との衝突若しくは接近事案が発生したときは、直ちに飛行許可及び承認を行った国土交通省航空局安全部運行安全課又は空港事務所へ次に掲げる内容を報告する。ただし、執務時間外における報告の場合は、24時間運用の最寄りの空港事務所に電話で連絡を行うものとする。
ア 飛行に関する許可及び承認の年月日及び番号
イ 操縦員の氏名
ウ 事故の発生した日時及び場所
エ 機体の名称
オ 事故の概要
カ その他参考となる事項
(5) 消防用ドローンの墜落若しくはその周辺機器の落下による人身事故又は消防用ドローン若しくはその周辺機器に起因する火災その他災害が発生したときは、火災・災害等即報要領(昭和59年10月15日付け消防庁長官通知)に基づき報告するものとする。
附則
この訓令は、平成31年4月1日から施行する。
別表第1(第9条関係)
消防用ドローン点検基準
【上空側装置】
点検箇所 | 点検事項 | 点検方法 | |
機体 | フレーム | 各アームに変形及び損傷はないか。 | 目視・触診 |
モーター部分を持ち上げてもがたつきがないか。 | 触診 | ||
ボルトの締付け状態は適正か。 | 触診 | ||
プロペラ | 各プロペラに変形又は損傷はないか。 | 目視・触診 | |
取り付け方向は適正か。 | 目視 | ||
ボルトの締付け状態は適正か。 | 触診 | ||
モーター | 軸ベアリングにゴミ、ほこり等の異物が混入していないか。 | 目視 | |
軸ベアリングにがたつきはないか。 | 目視・触診 | ||
オイル切れによる異音はないか。 | 目視・触診 | ||
マウント部のボルト締付け状態は適正か。 | 触診 | ||
操縦用信号受信機 | アンテナに変形又は損傷はないか。 | 目視・触診 | |
信号受信時のLEDの発光は適正か。 | 目視 | ||
取付け状態は適正か。 | 触診 | ||
GPS | GPSに変形又は損傷はないか。 | 目視 | |
キャブレーションが適正に完了したか。 | 目視 | ||
定点ホバリングが行えるか。 | 操作 | ||
フライコントローラー | ソフトウェアが正常にインストールされているか。 | 操作 | |
パラメーターは正確に表示されているか。 | 操作 | ||
ケーブル | 被覆に亀裂又は損傷はないか。 | 目視 | |
接続部分に緩みはないか。 | 目視 | ||
コネクタ | 端子部分に磨耗はないか。 | 目視 | |
接触部分にショートスポット又は腐食はないか。 | 目視 | ||
バッテリー | 変形又は損傷はないか。 | 目視・触診 | |
コネクタの状態は適正か。 | 目視 | ||
ケーブルの状態は適正か。 | 目視 | ||
セルバランスは適正か。 | 計測 | ||
充電量は適正か。 | 計測 | ||
異常な温度上昇はないか。 | 触診 | ||
取付装置 | ジンバル | ボルトの締付け状態は適正か。 | 触診 |
作動状態は適正か。 | 操作 | ||
カメラ | 取付け状態は適正か。 | 目視・触診 | |
作動状態は適正か。 | 操作 | ||
画像伝送装置 | 取付け状態は適正か。 | 目視・触診 | |
作動状態は適正か。 | 操作 |
※ 点検箇所、点検事項及び点検方法は、基本的な内容のため、取扱説明書及び関係書類に基づき点検すること。
消防用ドローン点検基準
【地上装置】
点検箇所 | 点検事項 | 点検方法 | |
操縦装置 | 無線操縦装置 | 変形又は損傷はないか。 | 目視 |
各スイッチ及びスティックは適正に作動するか。 | 触診・操作 | ||
モニターの画面表示は適正か。 | 目視 | ||
バッテリーの電圧表示は適正か。 | 目視 | ||
機体の異常時に警報音を発するか。 | 聴診 | ||
状態表示装置 | 作動状態は正常か。 | 操作 | |
画面表示は機体と連動しているか。 | 操作 | ||
画面表示は適正な数値を指しているか。 | 操作 | ||
方位は適正な方向を指しているか。 | 操作 | ||
設定変更時に適正に表示しているか。 | 操作 | ||
映像確認用モニター | 受信状態は適正か。 | 目視 |
※ 点検箇所、点検事項及び点検方法は、基本的な内容のため、取扱説明書及び関係書類に基づき点検すること。
別表第4(第14条関係)
非常時における報告先等
機関名 | 電話番号等 | 備考 |
富岡警察署 | 0274―62―0110 | |
国土交通省航空局安全部運航安全課 | 03―5253―8111 (内線)50157・50158 | |
東京空港事務所 | 03―5757―3022 | 執務時間内 |
03―5756―1531 | 執務時間外 | |
富岡市 | 0274―62―1511 | 訓練場所管理者 |
下仁田町 | 0274―82―2111 | 訓練場所管理者 |
南牧村 | 0274―87―2011 | 訓練場所管理者 |
甘楽町 | 0274―74―3131 | 訓練場所管理者 |
総務省消防庁 | 火災・災害等即報要領に準ずる。 | |
群馬県総務部消防保安課 | 火災・災害等即報要領に準ずる。 |