○富岡甘楽広域市町村圏振興整備組合多数傷病者発生時の救急救護活動計画
平成29年3月15日
訓令第3号
集団救急事故時の救急救護活動計画(平成13年富岡甘楽広域市町村圏振興整備組合訓令第1号)の全部を改正する。
(目的)
第1条 この計画は、富岡甘楽広域市町村圏振興整備組合救急業務に関する規則(平成10年富岡甘楽広域市町村圏振興整備組合規則第2号)第28条第1項の規定に基づき、多数の傷病者が発生し、通常の出動体制では対応できない事故(以下「多数傷病者発生事故」という。)を対象として消防部隊の効率的な運用及び関係機関との密接な連携を保持し、総合力をもって迅速かつ安全に傷病者の救出救護を図ることを目的とする。
(1) 警戒区域 災害現場の周囲で、2次的災害が発生する可能性のある場所を広範囲に定め、通常は警察が設定及び管理を行う区域をいう。
(2) 危険区域 災害現場において、個人防護具(PPE)を装備した者以外の立入りを制限すべき区域をいう。
(3) 傷病者集積場所 危険区域内から救出した傷病者を速やかに応急救護所に搬送できないときで、一時的に待機させる安全な場所をいう。
(4) 応急救護所 救急隊並びに医師及び看護師により、応急処置又は救急救命処置を実施し、医療機関への搬送準備を行う場所をいう。
(5) トリアージ 傷病者を重症度、緊急度等によって分類し、治療及び搬送の優先順位を決定することをいう。
(6) 1次トリアージ 歩行の可否又は簡便な生理学的評価により、迅速に傷病者を分類するトリアージをいう。
(7) 2次トリアージ 1次トリアージ後、同一トリアージ区分内において、治療及び搬送の優先順位を決定するトリアージをいう。
(8) トリアージポスト 応急救護所の入口にある搬入エリアで2次トリアージを行い、カテゴリー別に搬入するための場所をいう。
(9) 協力医療機関 災害現場において消防部隊と連携して活動を行う協力機関で、医師会、災害医療チーム、ドクターカー、ドクターヘリ等の医療機関をいう。
(10) 協力関係機関 災害現場において消防部隊と連携して活動を行う協力機関で、警察、自衛隊、行政機関等の関係機関をいう。
(運用基準)
第3条 この計画の運用基準は、次の各号に掲げるとおりとする。
(1) 傷病者が7人以上発生したとき、又は発生するおそれがあるとき。
(2) 救急隊を3隊以上集中的に運用する必要があるとき。
(3) その他消防長が必要であると認めるとき。
(活動の原則)
第4条 現場活動は、協力医療機関及び協力関係機関と連絡を密接に行い、効率的な傷病者の救護に当たるとともに、傷病者の適切なトリアージを行い、重症者を最優先として必要な応急処置等を施した後、分散搬送を考慮し、適切な医療機関へ迅速かつ安全に搬送することを原則とする。
(出動計画)
第5条 消防長は、通報内容又は現場報告によって多数傷病者発生事故と判断するときは、富岡甘楽広域市町村圏振興整備組合消防隊出動規程(平成29年富岡甘楽広域市町村圏振興整備組合訓令第1号)第10条の規定に基づき、所要の部隊を出動させるものとする。
(応援要請)
第6条 消防長は、災害状況に応じ、特に必要があると認めるときは、次の各号に掲げる応援要請を行うものとする。
(1) 消防相互応援協定に基づく他消防本部(局)に対する応援要請
(2) 協力医療機関及び協力関係機関に対する応援要請等
(非常招集)
第7条 消防長は、多数傷病者発生事故と認めたときは、富岡甘楽広域市町村圏振興整備組合消防警防規程(平成29年富岡甘楽広域市町村圏振興整備組合訓令第2号。以下「警防規程」という。)第26条の規定に基づき、職員の招集を行うものとする。
2 招集を受けた職員は、警防規程第27条の規定に基づき参集し、後方支援指揮者の指揮下において活動するものとする。ただし、当該職員が直接災害現場に駆付けたときは、この限りでない。この場合において、当該職員は指揮本部長の指揮下において活動するものとする。
(最先着隊の任務)
第8条 最先着隊の小隊長は、指揮本部が設置され、指揮本部長に指揮権を委譲するまでは現場指揮を行い、その任務は別表第1のとおりとする。
(消防部隊等の任務分担)
第9条 指揮本部、後着消防部隊、応急救護所及び警防本部の任務分担は、別表第2のとおりとする。ただし、指揮本部長から別命があったときは、この限りでない。
(指揮本部)
第10条 災害現場における効率的な現場指揮を図るため、第3条の基準に該当したときは、指揮本部を設置するものとする。
(1) 現場全体が把握でき、かつ、消防部隊の集結に容易な場所
(2) 応急救護所との連絡が容易な場所
(3) 2次的災害のおそれのない場所
(4) 通信障害が少ない場所
(5) 協力関係機関との連絡及び調整が容易な場所
3 協力医療機関は、指揮本部長の指揮下において活動するものとする。
4 指揮本部長は、協力関係機関が設置する指揮本部等との協議体制を整えるものとする。
5 指揮体制は、警防規程第39条に規定する第2指揮体制又は第3指揮体制とする。
(応急救護所)
第11条 応急救護所は、第3条の基準に該当したときに設置するものとする。
(1) 指揮本部との連絡が容易な場所
(2) 2次的災害のおそれのない場所
(3) 出動隊の進入又は退出路が別系統で確保が可能な場所
(4) 群衆の混乱による活動障害が少ない場所
(5) 通信障害が少ない場所
3 応急救護所内は、トリアージの区域を明示し、重症度分類によって傷病者の搬送位置を指定するものとする。
4 応急救護所の設置に必要な資器材は、富岡消防署員又は消防本部職員が搬送する。
5 救急指揮者は、協力医療機関が災害出動したときは速やかに連絡をとり、密接な連携の下に活動するものとする。
6 応急救護所の管理運営は、別表第3のとおりとする。
(トリアージ)
第12条 災害規模、災害種別、傷病者数等の状況を考慮し、1次トリアージ及び2次トリアージを適宜行い、トリアージタグで表示する。
2 1次トリアージ及び2次トリアージは、別図第1及び別図第2に定める方法を原則とする。ただし、救急指揮者が傷病者数及び災害種別から他のトリアージ方法を指示したときは、この限りでない。
3 緊急度分類第4順位(黒色)の搬送順位については、災害現場における傷病者の傷病程度及び総数を考慮し、第1順位(赤色)、第2順位(黄色)の次に搬送するなど適宜対応すること。
4 傷病者を応急救護所へ搬入するまでに、緊急度分類の実施がされていることを原則とし、必要に応じて搬入エリアにトリアージポストを設置すること。
5 医師により死亡と判断された者は、トリアージタグで表示し、応急救護所から隔離された場所に安置すること。
6 1次トリアージ及び2次トリアージは、繰返し実施するものとする。
(消防団)
第13条 指揮本部長は、必要に応じて消防団に出動を要請するものとする。
(報告)
第14条 指揮本部は、各小隊長から定期的に情報を取りまとめて、逐次警防本部へ報告するものとする。
(広報)
第15条 住民等に対する広報は、次の各号に掲げるとおりとする。
(1) 災害現場における2次的災害及び活動による危害防止に重点をおき、拡声器等を活用して行うものとする。
(2) 発表については、状況に応じて行うものとする。
2 報道機関に対する広報は、次の各号に掲げるとおりとする。
(1) 広報担当者が専従して行うものとする。
(2) 発表については、速報、中間、まとめ等段階的に行うものとし、あらかじめ会見場所を指定するとともに、会見日時を予告するものとする。
3 協力関係機関との合同会見が必要なときは、当該機関との協議を行った上で、前項の規定による発表を行うものとする。
(資器材の管理)
第16条 多数傷病者発生に関する資器材の管理は、警防課長が行うものとし、半年に1回点検を行うものとする。
(訓練)
第17条 この計画の円滑な運用を図るため、協力関係機関及び協力医療機関と連携し、年1回以上の多数傷病者発生事故発生時の訓練を行うものとする。
附則
この計画は、平成29年4月1日から施行する。
別表第1(第8条関係)
最先着隊の任務
項目 | 任務 |
指揮 | 1 現場指揮 |
情報収集 | 1 関係者等の確保 2 現場状況の確認 |
安全管理 | 1 自己隊 2 災害現場 3 傷病者 |
情報伝達経路の確保 | 1 消防救急無線 2 携帯電話 3 衛星電話 4 トランシーバー 5 拡声器 6 肉声 |
災害状況の把握及び報告 | 1 災害概要(災害地点、概要及び傷病者数) 2 2次的災害危険 3 後着消防部隊の進入経路 4 必要な応援隊 |
消防活動上必要な場所の選定 | 1 警戒区域及び危険区域の設定 2 指揮本部 3 応援隊集結場所 4 応急救護所及びトリアージポスト 5 傷病者集積場所 6 ヘリポート(場外離着陸場及びランデブーポイント) |
別表第2(第9条関係)
消防部隊等の任務分担
(1) 指揮本部
(2) 後着消防部隊
隊名 | 任務 |
先着救急隊 | 1 救急指揮(指揮本部付救急指揮者) 2 トリアージポスト担当 |
後着救急隊 (部隊増強の救急隊を含む。) | 1 傷病者集積場所又は応急救護所への搬送 2 トリアージ 3 応急救護所での処置 4 医療機関への搬送 |
救助隊 | 1 救助活動 2 傷病者集積場所又は応急救護所への搬送 |
消防隊 | 1 応急救護所の開設 2 傷病者集積場所又は応急救護所への搬送 |
(3) 応急救護所
職名 | 任務 |
応急救護所指揮者 (指揮本部長が指名した者) | 1 応急救護所の総括指揮 2 応急救護所内の協力医療機関との調整 |
応急救護所調整担当者 (指揮本部長が指名した者) | 1 応急救護所における傷病者管理表の作成 2 トリアージタグの管理 3 指揮本部との連絡調整 |
トリアージポスト担当者 (救急隊・2名1組) | 1 トリアージ 2 トリアージタグの記入 |
応急救護所処置担当者 (後着救急隊) | 1 トリアージ 2 応急処置 |
誘導担当者 (消防隊) | 1 救急自動車の誘導 |
搬送担当者 (救急指揮者が指名した者) | 1 搬送救急隊の編成 |
(4) 警防本部
職名 | 任務 |
警防本部長 | 1 消防活動の総括 |
警防副本部長 | 1 警防本部長の補佐 |
警防本部員 | 1 医療機関情報その他の情報収集 2 関係機関との連絡調整 3 資器材調整 4 災害等に関する通報及び即報 5 災害記録 6 非常招集 7 報道関係者対応 8 必要資器材の調達及び搬送 |
後方支援指揮者 (総務課長) | 1 2次事案対応の運用管理 2 非番招集職員の運用管理 |
別表第3(第11条関係)
(1) 応急救護所の管理運営
項目 | 内容 |
設置等 | 1 速やかに応急救護所に搬送できないときは、危険区域から救出した傷病者を傷病者集積場所に待機させる。 2 赤及び黄カテゴリーの傷病者数に応じ、エアードームテント又はワンタッチテントを用いて応急救護所を設置する。 3 赤エリアに最大限の人員及び資器材を投入し、黄及び緑エリアについては必要最低限とする。 4 応急救護所内は、搬入エリアから搬出エリアまでの一方通行を原則とする。 |
治療及び処置 | 1 赤カテゴリー傷病者の治療又は処置が終了するまでは、黄カテゴリー傷病者の治療及び処置は行わないことを原則とする。 |
搬送等 | 1 トリアージポスト又は応急救護所内で2次トリアージを行い、それをもとに傷病者リストを作成し、搬送順位を決定する。 2 赤カテゴリー傷病者の搬送が終了するまでは、黄カテゴリー傷病者の搬送を行わないことを原則とする。 |
(2) 資器材
品名 | 品名 |
エアードームテント | ガーゼ |
ワンタッチテント | 酸素ボンベ |
ブルーシート | 調整器 |
トリアージシート | 酸素マスク |
バックボード | S字フック |
簡易担架 | 蛍光灯 |
毛布 | 傷病者管理表 |
巻軸帯 | トリアージタグ |
その他必要なもの |